水道水には、様々な物質が含まれていますが、その中の1つにトリハロメタンという物質があります。
トリハロメタンは、有害物質として有名であるため、水道水に含まれているのを疑問に思う方もいるでしょう。
そこで今回は、水道水に含まれるトリハロメタンの有害性と除去方法を紹介します。
水道水の安全性が気になる方は、ぜひ最後まで読んでください。
目次
トリハロメタンは塩素消毒によって発生する物質
水道水中のトリハロメタンは、水の塩素消毒によって発生する物質です。
浄水の過程で、消毒剤である塩素と、水中のフミン質などの有機化合物が反応を起こして生成されます。
このように、消毒によって生成される成分を消毒副生成物と呼びます。
トリハロメタンは、クロロホルム・ブロモホルム・ジブロモクロロメタン・ブロモジクロロメタン4つの物質の総称です。
日本では、水道水の安全性のため、以下のようにトリハロメタンに厳しい基準が定められています。
- クロロホルム:0.06 mg/L
- ブロモホルム:0.09 mg/L
- ジブロモクロロメタン:0.1 mg/L
- ブロモジクロロメタン:0.03 mg/L
クロロホルム
クロロホルムは、トリハロメタンの中で最も含まれている物質です。
以前は、世界中で麻酔薬として使用されていました。
しかし、肝障害や腎障害といった副作用が判明したため、現在では使用されていません。
国際がん研究機関(IARC)ではクロロホルムを、人に対する発がん性分類を2B に指定しています。
国際がん研究機関(IARC)の発がん性は、以下のような5段階で分類されています。
- グループ1:ヒトに対する発がん性がある
- グループ2A:ヒトに対しておそらく発がん性がある
- グループ2B:ヒトに対して発がん性がある可能性がある
- グループ3:ヒトに対する発がん性について分類できない
- グループ4:ヒトに対する発がん性がない
2Bということで、丁度中間に分類されているのがわかります。
ブロモホルム
ブロモホルムもクロロホルムと同様に、人に対する発がん性の可能性があります。
また、肝臓と腎臓、中枢神経系に影響がある可能性がある有害物質です。
ジブロモクロロメタン
ジブロモクロロメタンにも、人に対する発がん性の可能性があります。
以前は、化学工業における中間体として使用されていましたが、現在は使用されていません。
ブロモジクロロメタン
ブロモジクロロメタンにも、人に対する発がん性の可能性があります。
発がん性以外にも、肝臓と腎臓に悪影響を及ぼす恐れがある物質です。
20℃で気化すると、有害濃度に達するため、注意が必要です。
トリハロメタンの含まれた水道水を飲み続けても問題はない
トリハロメタンが有害物質だというのは、わかっていただけたと思います。
しかし、「そんな有害物質が含まれた水道水を飲み続けても大丈夫なの?」という疑問が生じると思います。
結論を言うと、トリハロメタンを含む水道水を飲み続けても、人体には影響はありません。
トリハロメタンの中でも、水道水中に最も多く含まれる物質は、クロロホルムです。
水道水における、日本のクロロホルムの基準は、0.06mg/L以下と定められています。
対して、WHOのクロロホルムの基準は、0.3mg/L以下と定められています。
上記のように、トリハロメタンの中でも、最も多く含まれているクロロホルムに、0.06mg/L以下という厳しい基準を定めているため、日本の水道水は海外と比べて非常に安全性が高いと言えます。
またクロロホルムは、薬物代謝酵素によって代謝されて、二酸化炭素として排出されるため、人体に影響はないと言えます。
説明の通り、水道水中に含まれるトリハロメタンはごく微量のため、体内に蓄積される恐れもありません。
中間塩素処理によってトリハロメタンの生成を抑えられる
トリハロメタンの生成を抑える方法の1つに、中間塩素処理という方法があります。
中間塩素処理は、トリハロメタンを発生させる物質である、フミン質などの有機物を除去してから塩素処理するため、トリハロメタンの発生を抑制できます。
しかし、原水を貯めておくダム内に、藻類が大量発生しやすいというデメリットがあります。
藻類が大量発生してしまうと、ろ過障害や異臭の原因になるため、水道水の品質が落ちてしまいます。
トリハロメタンを除去する方法
水道水中のトリハロメタンは、自宅でも簡単に除去が可能です。
除去しなくても安全に飲むことはできますが、心配な方は、これから紹介する方法を実践してみてはいかがでしょうか。
- 10分以上沸騰させる
- 活性炭でろ過する
- 浄水器を設置する
- ウォーターサーバーを設置する
10分以上沸騰させる
水道水を10分以上沸騰させると、トリハロメタンを除去できます。
トリハロメタンは揮発性の物質のため、沸騰させると気化して除去されます。
電気ポットで行う際は、1回の沸騰では除去しきれないため、複数回沸騰作業をする必要があります。
10分以上沸騰させる理由としては、中途半端な加熱では、逆にトリハロメタンの濃度を高くしてしまう恐れがあるためです。
トリハロメタン濃度の高い水を飲むと、人体に影響が出てくる可能性があるため、10分以上沸騰させるようにしましょう。
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活性炭でろ過する
活性炭でろ過することでト、リハロメタンを除去できます。
活性炭の表面には、小さな穴が開いており、様々な成分を吸着する効果があります。
しかし、活性炭の吸着量には限度があるため、頻繁にフィルターを交換する必要があります。
浄水器を設置する
浄水器を設置すると、いつでも手軽にトリハロメタンが除去された水を飲めます。
しかし、活性炭と同様にろ過材を定期的に交換する必要があります。
ろ過材の交換を行わないと、水道水から除去した不純物が再び混入して、元よりも不純物の量が多い水道水を飲むことになってしまいます。
ウォーターサーバーを設置する
ウォーターサーバーを設置すると、トリハロメタンはもちろん、その他の不純物が除去された水を手軽に飲めます。
ウォーターサーバーは、宅配水のイメージがありますが、水道水を利用できるタイプのウォーターサーバーもあります。
水道水を利用できるウォーターサーバーには、「水道直結型ウォーターサーバー」と「水道水補充型ウォーターサーバー」の2種類があります。
水道直結型ウォーターサーバー
水道直結型ウォーターサーバーは、水道管に直接ウォーターサーバーを繋げるタイプのウォーターサーバーです。
水道管に繋げる必要があるため、初回設置時に工事が必要です。
水を補充する必要がないため、手間がかかりません。
しかし、設置場所に制限があり、水道管の近くでなければいけません。
水道水補充型ウォーターサーバー
水道水補充型ウォーターサーバーは、水道管には繋げず、直接水道水を補充するタイプのウォーターサーバーです。
水道管に繋げる必要がないため、初回設置時の工事が不要です。
直接水道水を補充する必要があるため、少し面倒ですが、水道直結型ウォーターサーバーと異なり、設置場所の制限がありません。
水道水に含まれる成分
水道水には、トリハロメタンの他にも、様々な成分が含まれています。
- ミネラル分
- 塩素
- トリハロメタン
- アルミニウム
- 鉄錆
安全な成分もありますが、中には危険な成分も含まれます。
ミネラル分
水道水には、カルシウム・カリウム・マグネシウム・ナトリウムなどのミネラル分が多く含まれています。
ミネラル分は、健康を保つのに必要であり、水のうまみや舌触りにも影響しています。
ミネラル分が少ない水は、美味しく感じません。
塩素
水道水には、微生物や細菌を繁殖させないため、塩素が含まれています。
塩素が消毒剤としての役割を果たしているため、水道水の安全が保たれています。
しかし、塩素含有量が多いと、カルキ臭の原因になってしまいます。
トリハロメタン
水道水には、有害物質であるトリハロメタンが含まれています。
トリハロメタンには、人に対する発がん性の可能性が示唆されていますが、水道水中には微量にしか含まれていないため、人体に影響はありません。
アルミニウム
水道水には、濁りをなくすための、ポリ塩化アルミニウムという凝縮剤が使用されています。
アルミニウムの過剰摂取は、アルツハイマーの原因になってしまいます。
しかし、水道法の水質基準では、水道水中の アルミニウム濃度を、 0.1 ㎎/mL以下と定めているため、人体に影響はありません。
含まれる量が少ないうえ、ほとんどが体外に排出されるため、安全です。
鉄錆
水道水には、鉄錆が含まれている可能性があります。
水道管には鉄が多く使用されており、それが劣化してしまうと、水道水中に混入してしまう恐れがあります。
鉄錆を含んだ水道水は、赤茶色に変色するため、すぐに気づくでしょう。
含まれている鉄錆の量が微量なら、捨て水をすれば改善されるでしょう。
より安全に水道水を飲むなら今すぐ行動を!
トリハロメタンの危険性について、わかっていただけたでしょうか?
トリハロメタンは、人に対する発がん性の可能性があり、非常に危険な物質です。
しかし、日本の水道水は、51個もの検査項目と厳しい基準をクリアしているため、衛生的と言えるでしょう。
どうしても安全面が気になるという方は、今回紹介したトリハロメタン除去方法を試してみてください。